歴史と伝統の中日川柳会の秀句 |
令和2年2月句会の秀句 |
「開く」 杉本憩舟 選 | ||
石棺が開きファラオが蘇る | 岩田マリ | |
全快の愁眉を開く文が来る | 森峰義 | |
開けない平方根の引きこもり | 戸田冨士夫 | |
「つもり」 本多雅子 選 | ||
しあわせになるはずだったしゃぼん玉 | 住田勢津子 | |
つもりから一歩踏み出す春の風 | 荒川照美 | |
踏みだして新たな風に乗るつもり | 梶田隆男 | |
「匂う」 住田勢津子 選 | ||
パンを焼く匂い平和を噛み締める | 松尾由美子 | |
断捨離で匂う私という宇宙 | 位田仁美 | |
石鹼の匂い懺悔を一つ抱く | 佐藤文子 | |
「毛」 赤星陽子 選 | ||
悔はなし今闘魂のまげを切る | 時任敏子 | |
黒髪を切って一つを過去にする | 佐藤文子 | |
少年の産毛輝く近い羽化 | 小柳津絢子 | |
「やけに」 戸田冨士夫 選 | ||
進化の波濤が人の匂いを消していく | 川村道子 | |
悲しいとやけにおふくろ思い出す | 柳秀夫 | |
愛弟子にやけに厳しい目が光る | 松尾由美子 | |
「雑詠」 加藤田鶴子 選 | ||
「さびしない」言い切る母の空元気 | 松浦美津江 | |
炎えて散る椿の業が哀しくて | 佐藤文子 | |
満ち足りてはらはら風の抱く余情 | 加藤由美 |