歴史と伝統の中日川柳会の秀句 |
平成27年3月句会の秀句 |
「ハード」 |
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一生を硬派で通し無位無冠 | 文子 | |
捨てられぬハードカバーの愛蔵書 | 勢津子 | |
荒行に耐える若さの白い息 | 英昭 | |
「ためらう」 |
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咲き誇る海の摘花は決めかねる | 絢子 | |
散る時はためらい傷も残さない | 陽子 | |
なにを躊躇う花は咲き鳥は鳴く | 泰川 | |
「だんだん」 |
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日を追って強まる風を分かち合う | 絢子 | |
核心へ徐々に切り込む好敵手 | 英昭 | |
耐え抜いた汗となみだに日が当たる | 和喜子 | |
「登る」 |
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人間になる階段一歩また一歩 | 和喜子 | |
それはきれいに破調の愛を登りきる | 嘉山 | |
霊峰を登る詫び状ふところに | 隆男 | |
「熱心」 |
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一心に生きねば釈迦の手に乗れぬ | ヒロ子 | |
ごり押しに咲かせた花は香らない | 千代子 | |
熱心に句を読むペンに錆はない | 正塔 | |
「雑詠」 | ||
針穴の視野で裁いたかも知れぬ | 文子 | |
七人の敵と逢うまで生きてやる | 瑞恵 | |
踏み込まぬ位置で互いを支え合う | 陽子 |