歴史と伝統の中日川柳会の秀句 |
平成26年9月/中部地区川柳大会の秀句 |
「鉛筆」 |
||
お互いに鉛筆で書く誓約書 | 高橋祐介 | |
樹海から出る鉛筆に火がついて | 水谷一舟 | |
鉛筆を噛んで男の海に出る | 鬼頭照苑 | |
「鉛筆」 |
||
鉛筆を削る命を削る音 | 鬼頭照苑 | |
鉛筆を酔わせあなたへ相聞歌 | 武藤敏子 | |
鉛筆の先から恋がほとばしる | 山田とく子 | |
「響く」 |
||
包装紙破ると響きだす軍靴 | 加藤自津夫 | |
地響きを立て直線をいく男 | 板橋柳子 | |
響き合うおはようパンは焼けている | 大野よね | |
「響く」 |
||
お財布にボディーブローの消費税 | 石川典子 | |
どん底に響くあなたの処方箋 | 荒川照美 | |
響き合う友と友と明日への夢紡ぐ | 松尾由美子 | |
「素顔」 |
||
お互いに仮面脱ごうよこの辺で | 赤星陽子 | |
荒波を蹴散らしいでよ無垢の顔 | 松尾由美子 | |
仮面脱ぎ素顔が眠る午前二時 | 早川節子 | |
「素顔」 |
||
お部屋ではどうぞ素直で両陛下 | 佐竹マスお | |
砂浜は海の素顔を語らない | 小川正塔 | |
産みおえた素顔母性に満ちている | 早川節子 | |
「担ぐ」 | ||
子が担ぐ未来に虹が立つように | 今村美根子 | |
担がれて担いで恙無いふたり | 原田多喜 | |
担がれてやるか可愛い孫のこと | 河合守 | |
「担ぐ」 |
||
担がれて嵐の海へ舟を出す | 佐藤文子 | |
担ぎ手が居ない悲しい屋台骨 | 時任敏子 | |
ジンクスを担ぐ右足から一歩 | 池田登茂子 | |
「ベスト」(事前投句) | ||
最良の波だ心の帆を上げる | 松原ヒロ子 | |
どの子にも百パーセント注ぐ愛 | 永井河太郎 | |
生きるとはベスト尽くした蝉の骸 | 松谷早苗 |